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2016年9月

2016年9月30日 (金)

第339回

擬態

Jt

これに行ってきた。
メインは海野和男さんの講演を聞くこと。
海野和男さんは昆虫写真家の第一人者で著書も多数ある。
それにメディアにもよく出演される。
NHKのカメラ関係や昆虫の生態関係、
民放ではバラエティーなんかにも出演される。
そう言えばラジオでもよくその声を耳にする。
夏休みとかだと決まって「なんでも子供相談室」みたいなものの回答者をされている。

JT生命誌研究館とはJTだからあの日本たばこ産業なのだが、
時代背景か今はそう名乗っていないようである。
「たばこ」が企業イメージを悪くするんだろうと想像するが。
そのJTの総合研究部門ってところか。
それも理化学研究所のようにかなり本気で取り組んでいらっしゃる。
どんなところと、一言で言えないのでこちらを→http://www.brh.co.jp/about/

今回のテーマは「擬態」だ。
昆虫関係ではなにかと常に話題に上るその「擬態」だ。
「擬態」とは他のものに、ようすや姿を似せること。
生き物が、攻撃や自衛などのために、からだの色や形などを、
周囲の物や植物・生き物に似せること。と、ある。

たとえば豹のヒョウ柄もそうだし、
海の中のカレイも全身を砂に潜らせるのではなく、
表面を砂と同化させていることは擬態にあたる。
蛇なんかもあの体の形状は擬態による進化だろう。
自衛隊の迷彩服、そうそう、それ。
程度に差はあれ、生き物すべてに擬態的特徴があるかもしれない。
人?ないなぁ、裸になったらよけいに目立つし。
そんな中で昆虫の擬態は群を抜いている。
ほんと、信じられない世界がそこにある、
だからこそメディアも含めて何かと取り上げられるのである。

Photo

擬態昆虫で有名なのはコノハムシとかだけど、
このムラサキシャチホコの精度には驚かされる。
どう見ても枯れ葉が丸まってるとしか思えないが、
蛾の成虫が羽根をたたんでとまっているのである。

昆虫の擬態は主に周りの環境に似せることが多い。
自分がとまっている草木などだ。
擬態の目的はもちろん天敵から身を守ることと、
捕食しやすいようにである。
見つかりにくいということはこの両方に作用するから面白い。
それと、擬態ではないが「警告色」と言うものが昆虫にはある。
いや、昆虫だけではないか。
テントウムシのように派手な色をまとい、
「毒あるし食べたらあんたも死ぬで」をアピールする。
毛虫の異様な容姿も蜂のトラカラーもその種類だ。
ちなみにアゲハチョウの初期の幼虫は鳥のフンにその姿を似せる。

で、面白いのが、
実際には毒を持っていない昆虫が、
まったく種類の違う毒のある昆虫の体に似せることがあるのだ。
蜂ではないのに蜂に似た虫がいるということ。
これも擬態の一種で標識的擬態と言う。

Photo_2

トラカミキリ虫はスズメバチに。

Agehamodok

アゲハモドキは蛾だが、ジャコウアゲハ(蝶)に擬態していると言われている。

Jyaageha

ジャコウアゲハは幼虫の頃、ウマノスズクサと呼ばれる毒草を食べ、
体に毒を蓄積する。成虫もこの毒をもつことから鳥は捕食しない。

Sinjy

蛇の顔を羽根に持つシンジュサン(蛾)、何とうろこまで。

JT生命誌研究館はDNAやゲノムと言った観点から、
生命の起源と不思議を研究しているところだ。
当然、今回の擬態の解明もそうなる。
しかし、この精度の高さは全く違う次元にあるのではないかと思う。
たとえば、擬態で生態を維持しているのなら、
全ての昆虫が擬態できるように進化するはずだが、そうはなっていない。
ちゃんと鳥たちに捕食される昆虫もいる。
それに、見事な擬態を見せる昆虫は捕食されないから数が増えるはずだが、
それもあまり関係ようだ。
また、敵だけではなく仲間にも見つけにくいのではないかと言う心配もある。
つまり繁殖が難しいと言うことだ。
でも、それも大丈夫のようだ。
このようなことを突き詰めて考えると、
やはり、どう考えても、そう、神のいたずらとしか思えないのである。

久しぶりに超まじめなコラムでした。

ええやん!、たまには 凝り性って言うな。

フリースタイルの演技 トスワークその12

マルチディスクプレーができない人の対策4
今更ながらのトレーニング

マルチディスクプレーの精度を高めて弱点を克服する。

一旦マルチディスクプレーを覚えてしまうと、
今までの苦労がウソのように完璧な状態になります。
できなかったことがだんだんとできるようになってきた、
と言う状態ではなく、ある瞬間からできるようになります。
それは慣れが必要な行動ではないからですね。
たとえばディスクのキャッチは頭の中で理解していても、
実際の行動にはすぐに反映できません。
ある程度の繰り返しによる慣れが必要です。
しかし、ディスクのリリースは口から出す、咥えているものを放すだけですから、
理解できたらすぐに実行に移せるのです。
マルチディスクプレーはキャッチ&ドロップの繰り返しで、
ドロップの理解不足が問題を引き起こしているので、
ここを解決できれば進展は速いのです。
そして特徴として同じ問題を引き起こさない傾向もあります。

ただし、別の大きな問題を抱える可能性もあります。
実際の行動に慣れが必要ない分、俊敏することがあります。
つまり今度は逆にディスクの保持が難しくなると言うことです。
ここで矛盾と言えるような質問が来ます。
それはマルチディスクプレーでディスクのドロップが問題となり、
それを解決していくのに、ディスクの保持と言う、
真逆のことがなぜ必要なのですか、と言うことです。
この答えには、まずはディスクマネージメントと言うシステムのことを知る必要があります。
詳しくは改めて解説しますが、簡単に言うと、
理想的なディスクのドロップは次のプレーに移行しやすい場所になると言うことです。
それはその場かもしれませんし、
戻ってくるときの途中かもしれません。
あるいはオーバーで飛び越えている空中なのかもしれません。
これらを実現するためには、ドロップできる実力と、
どこで、と言うタイミングを計れる能力が必要なのです。
マルチディスクプレーの中で全てのディスクのドロップを指示することは不可能です、
よってある程度は犬たちの判断能力に頼らなければなりません。
そしてそれを実現するためのトレーニングが必要なのです。

マルチディスクプレーの弱点とはこのことを言います。
実際にどういった形で表れているかと言うと、
距離やポジションに関係なく、
キャッチしたすぐ後にその場でディスクを放してしまいます。
そのディスクを咥えたまま走る必要があるときでも、
放したディスクをその場で拾いなおしてから走りますから、
演技の流れがそこでいったん止まってしまいます。
このような状況はディスクがコートの広範囲に点在することを意味し、
ディスクをプレー中に回収することが大変になります。
また、コートの中が散らかった印象になりますし、
犬たちが踏みつける可能性もあるので危険度も上がります。
歴史的背景からこの問題を手持ちディスクの数を増やすことで、
解決の道を探りましたが、あまり効果は無いようでした。
それよりもやはり深いコミュニケーションの構築のほうが、
確実に問題を解決できると考えています。

練習方法

考えられるすべてのパターンを網羅し、それを織り交ぜた練習をします。
なるべく規則性が無い方がベストです。

1キャッチのパターン(犬目線)
向かって来る、追いかける、落ちてくる、転がっている、拾う。

2ポジション
真正面に、右横に、左横に、真後ろに、を基本に角度を変化させる。

3距離
移動しない(その場)、近く、やや遠く、遠く。

4次のキャッチとの間隔
瞬時、短く、普通(2.3秒)、やや長く、長く。

5ディスクの滞空高さ(ジャンプキャッチの有無)
最低高さ(姿勢に合わせた頭の高さ以下は不可)、やや高く(前足が浮く)、
高く(飛び上がる)、より高く(助走付きジャンプ)

6ドロップの位置
その場(キャッチ点と同じ)、次を追いかけながら、戻りながら、ドロップしない。

7スロワーのポジション
移動しない、前後左右に移動、
上下に移動(立つ座る)、さらに移動速度を加減する。

◎マルチディスクプレーの精度を高める練習なので、
スローイングバリエーション、トリックは考慮しなくてよい。

◎コマンドは可能な限り正確に使う。

◎トリックや演技構成に見立てて同じパターンを繰り返し練習しない。

◎練習時間は適量。犬のモチベーションの維持に努める。

今回で「今更ながらのトレーニング」は終了です。
この練習のコツはノリを軽くして、どちらかと言えば長時間の練習をすることです。
人はトレーニング観点ですが、犬側からは「遊び」である必要があります。
次回はこの練習を踏まえてトスワークを完成させましょう。

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2016年9月23日 (金)

第338回

8月のネタ。

書けなかった8月のネタを一気に。
ダイジェスト版ですか・・・別に書かなくてもいいと思うんですけね、
一応、写真があるし、なんかもったいないし、
こう言ったネタは賞味期限が短いですからね、
腐る前に、さらりとお付き合いください。

Img_1231

9月から再開するので競技ネットの洗濯を。
洗濯機には入らないので、桶に入れて踏み洗い。懐かしい~。

Img_1233

ちゃんと干したからオシッコの臭いもとれたし、
またしっかりとオシッコかけてくださいな。
その辺でするよりかけてくれた方がいいですよ、フィールド保全的には。
もっとも女子は無理ですけどね。

Img_0823

2回目ですよ。ここでこけたのは。
歯医者に行くときの駐車場なんですけどね。
この緑色の台に躓くんです。歳のせいじゃないとは思うけど。

Dsc07042

庭の塀に昆虫ゼリーを置いてみたらカナブンさんが来た。
あまりにも無防備だったので、その後ヒヨドリのランチになったかもしれない。
悪いことしたよな、きっと。
でもヒヨドリ目線では良いこと?
ヒナが立派に育つのに一役買ったことにしよう。

Img_1239

最盛期は混んでますネ、
たぶん、同じ朝の生まれだと思う。

Img_0919

虫ネタがもう一つ。
ワンの散歩の途中で見つけたアゲハ蝶・・だが。
ん?何アゲハ?
オナガアゲハに似ているが、オレンジの模様が少し違うような。
新種?まさか。誰かわかります?

Img_0928

これも散歩の途中に遭遇。
もう、まだ明るいのに・・・ニホンカナヘビのあれ。
ヘビって名前ですがトカゲです。まぁ足があるかないかだけですが。
「あれ」って普通に使う言葉だけれど、
使い方によってはイヤラシイ表現になるんだな。

Img_1247

新聞の広告。
自分史は興味なし。
気になるのはその上、「親の代理お見合い」って、なんだかな・・・

Img_1249

いいと思う。
久々の日本製ゴジラ映画。
テーマもはっきりとしているけど、
「あり得る」と思わせるところがすごい。

以上、お粗末でした。

フリースタイルの演技 トスワークその11

マルチディスクプレーができない人の対策3
今更ながらのトレーニング

②の練習はドロップとテイクを確実に教えることになりますから、
今から教えていくマルチディスクプレーが、
ディスタンス競技のディスクの受け渡しに悪影響を及ぼすことはないでしょう。
ただし、できるようになったからと言って、
メンテナンスを怠ると、いつの間にか違うことを学んでしまうことがあるので、
注意が必要です。
他の事にも同じことが言えますが、
そのことを継続して正しく覚えているかどうかを、
定期的に確認することは大切です。
テストすると言うと大げさなのでメンテナンスと呼びますが、
定期検診は事が大きくなる前にすれば是正は簡単になります。

③Nextコマンドでもう一枚のディスクを投げる。

いよいよもう一枚のディスクを投げてキャッチさせます。
1枚のディスクにこだわりが強い犬には難しい問題です。
マルチディスクプレーを断念したチームの原因のほとんどはここにあります。
コマンドによるディスクドロップを実現できても、
だからと言って、直ちにもう一枚のディスクを追えるとは限りませんね、
こだわっているのはドロップできないことではなくて、
そのディスクその物(たった今自分が咥えていた物)ですから、
自分がドロップしたそのディスクが対象になります。

ドロップはできるがそのディスクをもう一度投げられることを望むのです。
この症状は多くの場合深刻ですね。
他のディスクはまるでディスクではない違うものであるかのような態度です。
そして目で追うことはしますが、決して追いかけようとはしません。
仮についうっかり追いかけてしまっても、途中で止めるか、
あるいはキャッチ寸前(口には入るが口は閉じない)でも止めてしまいます。

こう言った状態を先ほどは深刻と言いましたが、
決して悪い状態ではないですね。
確かに、こだわりが強すぎるきらいはありますが、
選択の精度は極めて高いです。
まったく同じ形のものであるし、臭気についても特別なものはないはずです。
さらに、このこだわりは、ほんの数十秒前に使っていた物ですら、「別」と判断しますから。
まったくこの能力には驚されます。
どんな犬もこの優れた能力は持っています。
こだわりがほとんどなく完璧にマルチディスクプレーをして見せる犬でも同じことです。
つまり、ほんの数十秒前に使っていた物も区別できるが、
それにはこだわりを持たない、と言う判断をしていることになります。
この判断は許容範囲が大きく、例えば他の犬が使っていた物でも、
それを理由にすべての精度(意欲的態度も含めた)が落ちることはないのです。
「わかってるけど気にしない」もまた優れた能力ですし、
それができる犬が大多数でいる以上、どの犬にもできるはずです。

練習1

前週の練習4の続きから始めます。

練習4は、
一緒に走る、スローする、キャッチする、また一緒に走る、
そして走りながらドロップさせる、
ドロップできたらそのまま一緒に走る。
(このとき「一緒に」ということでComeコマンドを言う)
です。

この後に「次のスローがあるよ」と言う意味のコマンド「Next」を言ってから、
進行方向に向かって、走りながらディスクを投げます。
うまくできればこのパターンを数回繰り返します。

状態として走りながらのドロップはできるが、
そのドロップした位置から離れているにもかかわらず、
そのドロップしたディスクを拾いに行くこだわりを見せた時には、
一度リセットして、こだわって拾いに行かない距離まで走って移動してから、
次を投げるようにしましょう。
と言っても、40mや50mになったりはしません。

ディスクに対する意欲的態度が大きかったら、
わりとスムーズに覚えて行くでしょう。
(ディスクに対する意欲的態度と、そのディスクへのこだわりは別です)
この練習で意欲的態度がフリーズするようであれば、
それは全く別の問題(精神的なこと)として捉え、
そのことを最優先に直していきましょう。
もし意欲的態度が十分でない状態のまま練習を続けても、
おそらく期待通りの効果は得られないはずです。
意欲的態度は有るがこだわりは捨てる、がベストです。
最初は戸惑っていても、
犬自身が判断「さっきのわざわざ探して拾いに行かなくても、次のにしておこう」と、
するので進展は速くなるでしょう。

練習の経過としては、
ドロップした場所とNextの場所がだんだん近くなり、
最終的には走る必要もなく、その場でドロップ、Nextでディスクを追える状態です。
こだわっていたディスクがそこに落ちている、
しかし、次の行動(キャッチ)に移れる、ですね。

続く。

次週はこの練習を応用して精度を確実なものにしましょう。

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2016年9月17日 (土)

号外

注意!!

超大型台風16号が列島を縦断しそうです、
それに合わせて秋雨前線も活発化しています。
不要な外出は避け、安全に配慮してください。
暴風雨のさなか無理やり散歩などにいかないように。
特に増水した河川敷には近づかないように。

1週間ぐらい散歩に行かなくても大丈夫ですから。

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2016年9月16日 (金)

第387回

まだ間に合う怖い話。最終回。

「実は・・・」

「たかっちゃんの話、地元ではけっこう有名でね、
見たヤツけっこういるのよ」

「こいつもその一人・・」
家主は妻のほうを握った手の親指だけ反らせて指さした。

「有子さんも見たのか・・・」私は驚きを隠せずに聞いた。

「ううん、見ただけじゃなくてしゃべった」

「っえ~~」家主を除いた全員が絶句した。

得意げでもなく、神妙でもなく、かといって普通でもなく、
少し口角をあげたような表情で有子さんは言った。

「私らもけっこうあそこにハイキングに行くのよ、近いしね、
でね、山頂の岩の上、あるじゃん、丁度腰かけられる石がさ、そこで休んでいたわけ」

「そしたら、なんの気配もなく、いきなり後ろから話かけられたのよ」
「タカオさん、いませんか?って」
「誰?、びっくりして振り返ったら、そこには誰もいなくて、
下山道のところを白っぽいスーツっぽい髪の長い女の人が、
すーっと、滑るように降りていくのが見えたの」

私は小さく頷きながら「同じ女性だ」と心の中でつぶやいた。

有子さんは続ける。
「わたし、こう見えても霊感けっこうあるのよ」と自分で自分の胸を軽く叩いた。

「それが誰だったのかすぐにわかったわ、だって事件から半年もたってなかったし、
それにね、名前が一緒なのよ、同じユウコ、まぁ漢字は違うけどね。
向こうは幽霊のユウ、うそうそ、夕日のユウ」
重たい話になりすぎないように、上手く冗談を言えるところはさすがである。

「友達なのか」別の仲間が聞く。

「新聞に載ってたの」

「新聞?」私が聞き返した。

「その人死んだのよ、登山口の駐車場で、自殺だった、練炭自殺かな」

「正確にはたぶん心中だと思う」と、家主が口をはさんだ。

「ちょっと事件性があったんで、いろいろややこしく、それで新聞に名前が載ったみたい」

「事件って?殺人ってことか?」仲間が聞いた。

「いやいや、結局心中で収まったんだけど、相手の、男のほうがね助かったんでね」

「なるほどね、そうなると事件っぽいよな」仲間がつぶやく。

「新聞にも死亡と意識不明になっていたけど、結局助かった」

「不倫か?」つい不謹慎な想像と共に私の口が開いた。

有子さんが、なんでそうなるの、というニュアンスを含めて言った。
「それは知らない、だけど不幸な結末には違いないわね、
永遠に一緒になろうと思ってのことなのに、結局最悪の別れ方だからね、
辛いのよ、未練があるのよ、だから彷徨って探すのよ」

私はピンときた。
「それがタカオ・・・さん?」

「たぶんね・・・」
そう静かに答えた有子さんはすこし斜め下に目を落とした。
そしてしばらくその一点を見つめていた。

家主が有子さんに変わって話し出す。
「よくハイキングに来ていたんだと思う、
ひょっとしたら俺たちとも山道ですれ違って、挨拶を交わしてるかもしれないしな」

「土地勘があるからハイキングコースだけじゃなく、
ふもとの道をトンネルのあたりまで探してるんだろう、
それで、似たような年恰好の男に、名前を聞くそうだ」

「今日のたかっちゃんみたいに、車に乗せた人も多い、
で、それでタカオさんですか、って聞いてくるんだって」

「オレは聞かれなかったけど」

「噂によると、ミラーごしではなく直に目が合うと聞かれるらしい、
それにミラーごしなら透けてる体も、直に見ると普通なんだって」

「そうか、だからオレも有子さんも山で会ったときは透けてなかったんだ」

「まぁ、ここも噂だけどね、よくある話で、
名前を聞かれた時に、「はい」とか「そうです」、なんて答えると、
あっちの世界に連れていかれるらしい、
だから絶対に、仮に本当にタカオだったとしても、
違います、って言わなきゃいけないんだってよ」

仲間が言う。
「ほんとだ、そこはよくある話だわ」

「でもね、まるっきりでたらめでもないみたいよ」とまた少し明るくなった有子さんが言った。

「路線バスの運転手さんがトンネルの出口で突然死してたり、
乗客がいなかったらしいんだけど、
それに駅前のタクシー会社では、名前を聞かれても返事をするな、ってお達しがあるし」

家主が話の終わりを察してもらうために強く明るく言った。
「どっちにせよ、たかっちゃんはタカオじゃないから大丈夫、
生まれた時からタカシなんだろ、急にタカオになるなよ」

「そうだそうだ」素人のコントみたいに全員の声がそろった。

「じゃぁ、今からその駐車場にお悔みにでも行こうか」
と、有子さんが言うと、

家主も含めた全員が、せーので声を揃えて「いきませ~~ん」と、ハモって見せた。

ここを出たのは日付の変わる少し前だった。
自分の家まで2時間ほどだから、帰るのは午前2時ぐらいか。
「まぁ、いい、明日は何も予定がないし」
そうつぶやきながら、深夜の臭いのする国道で家路についた。
「それにしてもな・・・」
今日起こったことを頭の中で何度も振り返っていた。
まだ気持ちが上ずっているのがわかる。
何度もルームミラーを確認している自分が少し可笑しかった。

自宅の駐車場には車止めのブロックが、後輪を支えるように設置してある。
ゆっくりとバックしていく、バックモニターカメラなるものが付いてはいるが、
長年の癖で頻繁にルームミラーを見てバックしている。
車止めのブロックにコツンと当たる感触がして、車は完全に停止した。
それでもルームミラーをつい見てしまう。
「あっ!」、夕子さん・・・・
やはり、どうやら、連れて帰ってきたらしい、
今更、怖くはない。タカオじゃないし、切り札もある、「違います」って言えばいいんだから。
それに驚くこともなかった、それは心のどこかで再会を望んでいたからだ。
なんの迷いもなく振り向いて直に見た。美しい人だ。
体も透けていない、髪も体もはっきりとしている。
なにか話しかけてみるかと思ったら、夕子さんが先に口を開いた。
か細いきれいな声だ。美しい瞳は私を見ている。

「タ・カ・・・・シ、さんですか」

「えっ!!」

続かない・・・終わり。

Zz0

なんか写ってませ~ん?
逆さまにすると見えるかもしれませんよ、
まぁ、見えないほうがいいと思いますけどね。
というか、そもそもルームミラーで後部座席は映らないんじゃないの?
んなことないか・・・

フリースタイルの演技 トスワークその10

マルチディスクプレーができない人の対策2
今更ながらのトレーニング

初めての人も再挑戦の人も共通です。
前回の注意事項を参考に始めましょう。
根気のいる面白みに欠けるトレーニングですが、がんばりましょう。
そうすれば必ず犬のほうも応えてくれますから。
もう一つ言っておきましょう。
ぜんぜん進歩が見られなくてもすぐにあきらめないようにしてください。
頭の中の積み重ねが行動に現れるには時間がかかります。
犬とはそう言うものです。
だからある日突然できるようになります。
こう言ったことを「犬が化ける」と表現します。

①共通事項
ディスクは常に複数枚持ちます。
使わなくても必ず持つようにしましょう。
それぞれのコマンドは統一しましょう。
Catch Take Drop などです。
もちろん日本語でもOKですが、統一させましょう。
ディスクを放す時に「出して」「出せ」「ちょうだい」のように、
何種類も用意しないことです。

②コマンドによるドロップを教える
キャッチしたディスクを手で取りあげなくても、
コマンドで地面に落とせるようにします。

練習1 
テイクキャッチ(手に持ったディスクをキャッチ)させる。
少し一緒に走る、あるいは歩く。
止まってコマンドを言って、咥えているディスクの根元(口に触れているところ)を、
握って犬の口からディスクを取り出す。

固定が激しい犬の場合はディスクを回したり(犬の口の中で滑らせる)、
犬の口に手を入れる、あるいは唇の内側や犬歯を触ると、効果がある。

スムーズにできるようになったら、
ディスクではなく、ディスクと口が重なっている場所を触ってディスクを出させる。
もちろんコマンドは同じ。
ここでコマンドを言わなかったり、違うコマンドを使うと効果が無くなる。

この段階で問題なくできるようになれば、
コマンドを言ってから、先ほどと同じ場所を「触るふり」だけにして、
ディスクを放させる。

この練習は今の段階では「放す」が主な目的なので、
ディスクは1枚のディスクを繰り返し使う。
しかし、片方の手にもう一枚、ディスクを持っておく。

練習2
テイクキャッチさせた後の移動距離を長くして同じ練習をする。
(つまりディスクを咥えている時間が長いということ)
ここでも使うディスクは1枚を繰り返し使う。
ただし、もう片方の手にディスクは持っておく。

練習3
テイクキャッチではなくスローキャッチにする。
スロワーは固定するのではなく、走って移動しながら投げて、
犬がキャッチした後もしばらく一緒に走る。
このキャッチの後に一緒に走っているとき、
Take(ディスクを咥えたまま)を発して教える。

練習4
少し難しくなります。
一緒に走る、スローする、キャッチする、また一緒に走る、
そして走りながらドロップさせます。
ドロップできたらそのまま一緒に走ります。
(このとき「一緒に」ということでComeコマンドを言います)
1~3の練習でドロップの理解が深いと、
意外と簡単にできます。
もしここで壁にぶつかるとしたら、それはやはりドロップの理解不足ですから、
次に進まずに練習を一段回づつ戻りましょう。
決して先に進んではいけません。
理解が浅いことを認めると、その浅さが正しいと教えていることになり、
今後是正するのが難しくなります。

次回は、
③Nextコマンドでもう一枚のディスクを投げる、です。

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2016年9月 9日 (金)

第386回

まだ間に合う怖い話。その2

続きです。

登山口の駐車場で少しばかり休んでからその仲間の家に向かう。
車は全部で3台、順番に駐車場を出て、一般道を並んで緩やかに下って行く。
私の車はなぜか真ん中だった。
仲間の家までは20分位だろうか、
それほど交通量の多い地域ではないので、
この列は到着するまで乱れることはないだろう。
ほぼ山を下りきったら、平坦な道がそこそこの距離で続き、
やがて唯一の一般道にしては比較的長いトンネルがあり、
そこを抜けたら少しばかり街の色になる。
信号や自動販売機、そして昼の弁当を買ったコンビニも出現する。
トンネルをぬけて10分ほどで仲間の家だから、
トンネルはちょうど半分ぐらいの距離になる。

トンネルに向かう直線道路、トンネルの手前数メートルのところ、
車道の左側にあの白っぽいスーツっぽい髪の長い女性の後ろ姿を見つけた。
一目見て、山ですれ違った女性だとわかった。
足元はなぜか見えない、足首あたりからぼやけている。
それに、信じられない速さで、まるでホバークラフトのように浮いて前に進んでいる。
女性がトンネルに入った数秒後に1台目の仲間の車が侵入し、
私もそして最後の一台も続いた。
トンネルに入るとその女性の正体がはっきりと解かった。
いや、本当はトンネルの手前で見かけた時に解っていたのかもしれない。
すべるように僅か前を進んでいたその女性の体は、
トンネルの外壁を透けさせていたからだ。

1台目の仲間の車が追い越した。
次は私の番だ。減速しようなどという考えは毛頭ない。
ただ、やはり顔を見てみたい気持ちは多少あったのか、
追い越しざまに首を少し傾け覗き込んだ・・その瞬間、
向こうも私を見たような気がしてあわてて前を向いた。
そしてサイドミラーごしにその存在を確認したが、
追い越したその場所には何も映っていなかった。
反射的にルームミラーで後方を見て驚いた。
その女性が後部座席中央に座っている。
うつむき加減で長い髪が乱れることなく両肩に垂れていた。
やはり後部座席のシートの柄が透けて見えている。
言葉を亡くした、唖然とした。
かと言ってルームミラーから目を放すことができない。
車を運転している現実すらも遠のいていく感じがした。
ルームミラーに映っているうつむき加減の女性の顔がわずかに起き出したとき、
目の前がパッと明るくなった。トンネルから出たのである。
そして後ろの女性は瞬間ではなく、フェードアウトするように消えた。

思考が停止した。前の車に付いて行くだけだった。
しかし不思議と恐怖と言うものはなかった。
不思議な体験ではあったが、恐怖ではなかった。
仲間の家に着いたときには冷静さを取り戻している自分に驚いた。
今あったことはすぐにではなく、飯の時にでも話そう、そう思った。
順序立ててうまく話さないと、まじめに聞いてもらえないだろうと思ったからだ。
それに、その女性を見たのは自分だけのようだったからだ。
もし1台目の仲間も見ていたなら、
到着してすぐに「さっきの見たか?」と飛んでくるはずだが、
何事もない様子だったし、実際何も見ていないのだろう。
おそらく、山ですれ違ったのも自分だけだと思った。

夕食を取りながらアルコールも進んできたところで話を切り出した。
山での出来事からトンネルの中のことまですべて話した。
まじめに話したせいか、誰も茶化したようなことは言わない。
だからと言ってすべてを信じるということでないのは、当たり前だろう。

「へ~、そうか、見たんか」
「信じられないけど、ちょっと怖い話だな」

しかし、家主だけは少し反応が違った。
「たかっちゃん・・・」
たかっちゃん、とは私のことである。
ここいる仲間は昔から私のことを「たかっちゃん」と呼ぶ、あだ名だ。

「たかっちゃん、霊感あるのか?」家主が聞く。

「いや、無い、こんな体験は初めてだけど・・・」

「けど、怖くなかったってことは、ひょっとしてあるかもしれないな」
「自分では気付かなかっただけで」
と意味深な言い方をする家主。さらに、

「たかっちゃん・・・タカシだったよな、名前・・・」
「タカオじゃないな」

「ああ、生まれた時からタカシだけど」と、ちょっとふざけてみた。

「なら、いいんだけどね」と怪訝な顔して家主が言った。

そして続けた。
「いやいや、もしかして危なかったのかな、って思って」

和やかなその場が一瞬凍りついた。
その場にいる全員がこれから何を話されるのかを予測したが、
その話が戯言でないことを確信していた。
そして家主の妻の有子さんがその確信に追いうちをかけるように言った。

「ねぇ、その話、ちゃんとしといた方がいいよ、たぶん・・・」

「ああ」と返事をして、
家主はわざとらしくため息をつき、やれやれと言った態度をして見せ、
ゆっくりと話を始めた。

「実は・・・」

続く。

Tun1

なんか写ってませ~ん?
目を横向けて黒いところをよーく見てください。・・・・・ぅわっ!!


フリースタイルの演技

トスワークその9
マルチディスクプレーができない人の対策1

1枚のディスクで慣れた、ということではありませんね。
事態はもっと深刻です。
慣れたのではなく、1枚のディスクでプレーするものだと言う確信を持っているのです。
だから仮にコマンドだけのドロップ、
(コマンドだけでディスクを口から離せる)が出来るようになっても、
他のディスクには目もくれず、
たった今ドロップしたディスクにこだわりを持ってしまうようになります。
この現象はレトリーブにも表れます。
2mぐらい少し離れたところでディスクをドロップ出来ても、
一旦、ドロップしてからもう一度それを拾って、持ち帰ってきます。
このような状態から次のディスクを全く投げられないようになってしまいます。

1枚のディスクにこだわりが強く、マルチディスクプレーができないチームには、
コマンドに反応してディスクがドロップできないことと、
ドロップできても、そのディスクに大きなこだわりを持ってしまう、
と言う2つの問題を抱えているのです。
よって、この問題の解決にはこの両方を同時に教えていく必要があります。
たとえば、順序立ててコマンドによるドロップを先に教えても、
それは1枚のディスクに対するこだわりの新しい形のスイッチ、
つまり、こだわりはドロップした後で、
と言ったような内容で覚えてしまい、問題の解決には至らなくなります。
ちょっとややこしい説明ですが、
関連する2つの問題を関連付けて直していこう、ということです。

もう一つ、このトレーニングには重要なことがあります。
それは教えきれないまま、途中で挫折した時、
また長く日を開けて改めてトレーニングを再開することが出来ない、ということです。
他のトレーニングにおいてもある程度は同じ事が言えるのですが、
この問題においては顕著に表れます。

説明しましょう。
同じことを繰り返すと、それは何回もしつこく教えたことと同じですね。
ここで「いろいろなパターン」を教えておくと、
当然そのように犬のほうも理解しますから、パターン違いに対応できます。
1枚のディスクへのこだわりは、同じことを何回も教えてしまったことと同じです。
だから今更違うパターンを教えようとしても受け入れられないのです。
ここで1枚のディスクへのこだわりは「間違っていますよ」と否定すると、
じゃあ、なにが正しいのですか、ということになって、
新しいこと(一枚のディスクにこだわらなくていいこと)を教えることができます。
だって、1枚のディスクへのこだわりは二度と使わない設定にしますから。
よって、1枚のディスクにこだわらないプレーを続けるのであれば、
否定してもいいでしょう。ところがそれはできませんね、
マルチディスクプレーの中には1枚のディスクにこだわったプレーも含まれますし、
必要なのです。
ディスタンスのようにレトリーブしたディスクを放さないで、
次のプレーに移行する場合もありますから。

そのことを否定しないでトレーニングしますから、
トレーニングは常にあいまいな状態で進んでいきます。
具体的言うと、
「このディスクにこだわっていいんですか、それともこだわっちゃいけないんですか」です。
答えはもちろん「両方、時と場合で」ですね。
そう言う風に教えていきますから、当然犬もそう教わります。
かと言って教わったからすぐにできるものではありませんね、
何しろ1枚での期間が長かったからなおさらです。
曖昧な状態に苦しんでいます。
そこでトレーニングを諦めて元に戻す(1枚のディスクにこだわっていい)と、
犬は曖昧な状態か一気に解放されて元に戻ります。
すると以前よりもそのこだわりが強くなります。
それは「やっぱりな」という心の動きが追加されるからです。
同時に今までやってきたトレーニングは「新たな決意」に働いてしまいます。
よって、日を開けてもう一度挑戦した時、以前にもまして「こだわり」が強くなっていて、
対処が難しくなるのです。
この状態がこの問題に顕著に表れるのは、
犬にディスクキャッチの喜びを教えるからです。
楽しみに対して、より楽しみなさいと言うスイッチであって、
それに犬の意欲的態度を生かしておこうとするからですね。
ただ言うなれば、これらは正しくもあり問題とも言えないのです。
もちろんマルチディスクプレ―ができないのは事実ですが、
それは演技としてのフリースタイルに移行できないだけであって、
ディスクドッグとして成り立たないわけではありませんから。

今日こだわりを取り除く練習をしました。
当然今日の1回で問題は解決しません。
他のディスクの練数をして楽しみました。
3日開けてこだわり除去の練習を再開しました。
こう言ったインターバルは全く問題ありません。
こだわり除去の練習が記憶にあるからです。
でも1か月みっちりと練習して、
3か月開けてその後に練習再開は問題です。
そのインターバルでは問題は解決しないでしょう。
マルチディスクプレーを諦めて、他の楽しみに目を向けたほうが賢明です。

今日の解説が胸に響いているチームがたくさんあると思います。
最初にディスクを2枚手に持つだけで発生しなかった問題を、
結局は諦めなくてはならなくなっています。
でも、もう一度だけ挑戦してみましょう。
諦めるのはその後でもいいです。
それに決して犬を追い込んだりはしませんから。

次週は具体的に「今更ながらのトレーニング方法」を解説しましょう。

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2016年9月 2日 (金)

第385回

まだ間に合う怖い話。

先日テレビ番組で「モニタリング」と言うのを見ていた。
いろいろとドッキリを仕掛けてモニタリングと称して、
人々の反応の傾向を調べる?と言う番組。
その中で、夜中のタクシーに知らない間に幽霊が同乗しているという設定があった。
なかなか面白い企画、
所々でうなずいてしまっている自分に気が付いて、よけいにおかしかった。
幽霊の存在を信じるタイプである自分、しかも100%、
つまり「いると思う」ではなく、
「いるに決まってる」だから多少危ないタイプかもしれぬ。
普通に考えたら無理がある設定も、
100%の人には「あり得る」設定になってしまうのである。

その日、就寝直前、
ベットに入って「さぁてと・・」の前に不意に思い出したことがあった。
昔聞いた車に関する怖い話である。
36年以上前に聞いた話、36年が微妙だが。
なぜ急に思い出したか、そう,、さっきのテレビの残像があったから。

ところで、聞いた怖い話はすぐに誰かに言い伝えないと呪われる、って知ってた?
だからこの手の話はあっという間に世間に広まるんだって。
ウソだけど。
ただ、その話を絶対ここに書こうと思った、なぜか。
そう言えば36年間誰にもしゃべってないな、
呪いに誘導されてるのか、怖っ。
今初めて話します。
はっきりと覚えているので、そのまま言いますよ。少しは盛ますが。
まぁ知ってる人も多いと思うけど、
知らなかった人は楽しんでくださいな。

夏は終わったけど、暑いからまだいいでしょう、
間に合いますかね・・・

では、
「この話は作り話です、事実ではありません。
ただ、だれが何時作ったのかは不明です。
よく聞くと不自然な設定とありきたりの設定だらけです。
この部分だけとっても作り話ということがよくわかります。
だから怖がる必要はないのですが・・・・・作り話のはず」

私はハイキングに行った。
現地の登山口で数名の友人と待ち合わせした。
登山口は駐車場になっていて、10台ほどの車を停めることができる。
車で行って山を登って、また車で帰れるんだから、
便利で楽な時代になったものだ。
私は一人で来たが、
他の友人たちは乗り合わせなどして全員車で来ていた。

人気のハイキングコースだからそこそこ人がいるが、
夏の週末の富士山のように混雑はしていない。
ここは比較的緩やかなコースなので楽に往復できるし、
時間もそんなにかからない。
だから女性や子供、年配のかたもたくさんいる。

ちょっと怠けて集合時間が遅かったので登り始めたのは10時ぐらいだった。
それでもたぶん、昼ごろには頂上だから、
そこで弁当を食べてゆっくりと下山できるだろう。
快晴、10月にしては少し暑いが、絶好のハイキング日和だ。

歩き出して1時間ほどすると、早くも下山する人たちとすれ違うことになる。
短いコースだから出発が遅いとこう言った光景になる。
すれ違う人とは挨拶を交わすのが山の習わしだ。
マナーだとかいろいろと言われているが、
元は安全を祈願してのことだということはあまり知られていない。
私はこの挨拶もハイキングの楽しみの一つだと思っている。
それは何といっても清々しい気持ちになるからだ。

もうあと少しで頂上と言うところで下山してくる一人の女性とすれ違った。
すれ違いざまに「こんにちわ」とあいさつをした。
女性は声には出さなかったが、軽く会釈をしてすれ違った。
ただ、ずっとうつむいたままだったので表情を見ることはできなかったが、
下りということもあり、また、ちょっとあり得ない速度で下りていったので、
疲労はされていないと思った。
髪の長い颯爽とした女性だった。

頂上に着くとそこらの岩場に腰を下ろして休む。
そして次々と仲間が到着してくる。
それぞれがそれぞれのペースで楽しみながら登るから、
登り始めは一緒でも、いつの間にかばらけてしまう。
ある者は写真を撮り、ある者は虫や植物を眺めながら登る。
本格的な登山ならそれぞれのペースを合わせる必要があるが、
ここのコースなら必要ない、安全だ。

全員がそろってから弁当とする。
といっても麓のコンビニで買った弁当だ。
近頃のコンビニ弁当はバカにはできない。
レベルが高いわりに低価格なのだ。
それにたとえどんなものであれ、
このシチュエーションで食べる弁当は最高の味わいになる。
さわやかな空気と気の知れた仲間たち、
この幸せを味わうために登ってきたようなものだ。

私は雑談の中でふと先ほどすれ違った女性を思い出した。
その時は感じなかったが、今思い出すと妙な感じだ。
そのいで立ちが、およそハイキングにふさわしくない服装だったからだ。

「なぁ、さっきすれ違った女の人見た?」
と仲間に問いただす。

「だれ?どの人、けっこう女の人多かったし」仲間の誰かが答える。

「ほら、髪長くて、白っぽいスーツっぽい服で、靴はハイヒールだったような」
「それにけっこうなスピードで下りていってたし」

「え~、気が付かなかったわ」

別の仲間が、
「けど、そんな恰好で山は登らんやろ」
「まぁ、登れないこともないけどな、ここやったら」

さらに別の仲間が、
「何かと見間違えたのとちがう」、「そう言う歳になったんだって」
と茶化す。

「けど、挨拶もしたしなぁ・・・」

半信半疑ながらもこの話は立ち消えてしまった。
私もまた深く考えなくなっていた。
小一時間ほど休憩して下山、麓の駐車場についたのは午後3時過ぎだった。
そこで解散でないのはいつもことだ。
仲間の一人の家がこのハイキングコースのある山の麓にある。
そこへ寄って夕食をごちそうになりながら一杯やる。
そして帰りは夜遅くになるのが恒例なのだ。

続く。

Hai

なんか写ってな~い~

フリースタイルの演技

トスワークその8

マルチディスクプレー

マルチディスクプレーに必要なオートマチックドロップと、
その基本であるキャッチ&ドロップを教えることは難しくはありません。
それはある程度は自然に出来てしまうからです。
自然に出来てしまうは適切ではないですね、
言い換えましょう、犬が自ら学ぶからです。
自然に身に付くと言ってもいいでしょう。
その後にコマンドトレーニングを施して精度を高めることになります。

しかし、自然に身に付くことをそうではない、
つまり不自然な状態にしてしまうと、
当然身に付かないということになります。
具合的に言いましょう。
犬にディスクの遊びを最初に教える時、
あるいは教えると言った段階以前の「慣れる」の状態の時から、
複数枚のディスクを見せて、
普通に当たり前のように複数枚のディスクを使って、
それらの遊びやトレーニングをすると
犬たちは簡単にキャッチ&ドロップを身につけます。
当然ですね、初めからそう言う概念で接しますから。

ですから、ディスタンスと言う競技概念をもって、
最初から1枚のディスクで遊んだり教えてしまうと、
前述の話と同じように「1枚であること」が概念になりますから、
マルチディスクの概念を持てなくなります。
さらに1枚のディスクであることの概念を持っている期間が長ければ長いほど、
その概念を捨てにくくなってしまいます。
年月に比例すると言っても過言ではありませんね。

ディスタンスをやっていたチームが、
フリースタイルに挑戦しようとしたとき、
マルチディスクのプレーに移行できるのは、
ディスタンスのキャリアが短ければ短いほど移行しやすくなります。
言い換えれば、5~6年も経過すると非常に難しいものになるということです。

ここで多くの人が言います。
「だったら、別にフリースタイルをしなければいいじゃないか、
という話にもなりますし、
そもそもマルチディスクが自然に身に付くと言いますが、
1枚のディスクプレーが自然でないとう考え方はおかしいのではないでしょうか」、と。

もちろんそうです、その意見は間違ってはいません。
しかし、現実は選択の幅が変わってくるのです。
簡単に言うと、マルチディスクで遊べる犬は1枚のディスクでも遊べます。
でも1枚のディスクでしか遊べない犬は、
当然、複数枚のディスクでは遊べないのです。
この選択の幅は単にプレー上のことだけではありませんね、
脳、つまり頭の中の幅も広がるのです。
言っておきますが、幅が広がることと頭の良さは関係ありませんよ、
1枚のディスクでしか遊べない犬が、頭が悪いということではありません。
幅を持っているということは、応用力に優れます。
いろいろなパターンを知るからです。
よって、その場の空気を読んで自分で考え適切に判断できる、
オートマチックドロップが可能になるのです。

マルチディスクプレーの必要なフリースタイルを、
するかしないか、ではなく、
出来るか出来ないか、が重要なのです。
出来るけどしない、この選択肢は有りなのです。

また、マルチディスクプレーを身につけると、
1枚のディスクでプレーするディスタンス競技の、
ディスクの受け渡しに悪影響が出ると、言われることがありますが、
それは全くのでたらめです。
普通に精度を高める練習をちゃんとすれば、(ディスクを取り扱いを教える)
問題は発生しません。
練習しないと問題は発生しますが(この話は後述します)

余談。
1枚のディスクで遊ぶことを徹底すると、
マルチディスクプレーに移行しにくくなることを、
指導的立場にいる人は深く理解するべきです。
そして初めて習う人に的確に説明することが必要です。
そうしないと、その習った人が将来的にフリースタイルに挑戦しようと思った時、
とても難しくなるからです。
習う人には対処できない問題です。
まったく経験がないのに、講師の力量を判断することはできません。

私はこのマルチディスクプレーで躓いて、
フリースタイルを諦めた人をたくさん知っています。
そしてこの問題がフリースタイラーの減少に拍車をかけているのは間違いありません。
もう一度言います。
この問題を理解できない人は指導的立場に立ってはいけません。
仮にディスタンスだけだからと言っても、指導してはいけません。
当たり前のことですが習う人のキャパシティーを狭めるように教えることは、
あってはならないことですし、その人には不幸なことになります。

続く。

次週はマルチディスクプレーに移行しよう、あきらめないで、と、
マルチディスクプレーの精度を高める練習をしないとどうなるか、
という話です。

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